安部定のアンビバレンツの終点ににぶき刃物のきらめきを想ふ

堕ち方を知らぬ天使と戯れて月に背いたランボーを読む

月細りゆるりゆるりと現れた感情おばけと対峙してをり

束ねたる花の中からこぼれ出た緋色一輪夭折の相あり

美しき菩薩のごとき笑みたたへ積んでは壊すカミユ的積み木

嘘ほどき玉響ほどき絹ほどき肌ほどかれて奔放の月

ピンと張る糸の向うにゐる君に子猫のやうに奪はれてゆく

ああ さくらさくらと水無月に手に入らぬものを欲してをりけり




(c) 山科真白  (Mashiro Yamashina)



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