脚と時計


在りし日の詩人ふたりの切られたる脚が時計の針になる夢(ランボー、冬衛、共に右足切断)


暗闇と死のアナロジー 秒針は夜の舞踏を愉しむべしや


賑やかな笑ひ上戸に誘はれて振り子時計がくつくつ笑ふ


逆の手に時計を巻ける違和感も試してみれば癖になりをり


脚→栞→竜涎香→靫草→再会→隠喩→雪音→時計


たれひとり触れてはならぬたましひの時計が吾れの時間を刻む


溶けてゆく時計を金のハンガーにかけてにやりとダリの口髭


隻脚のをとこが追ひし白鯨の跡形もなき海の静寂


さくら降るときをひそかに教へられ月よりけふは時計を愛す


失ひし脚を敵地に置き去りに燈台守は故郷に帰る


山科真白 2009.短歌人9月号他


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