脚と時計
在りし日の詩人ふたりの切られたる脚が時計の針になる夢(ランボー、冬衛、共に右足切断)
暗闇と死のアナロジー 秒針は夜の舞踏を愉しむべしや
賑やかな笑ひ上戸に誘はれて振り子時計がくつくつ笑ふ
逆の手に時計を巻ける違和感も試してみれば癖になりをり
脚→栞→竜涎香→靫草→再会→隠喩→雪音→時計
たれひとり触れてはならぬたましひの時計が吾れの時間を刻む
溶けてゆく時計を金のハンガーにかけてにやりとダリの口髭
隻脚のをとこが追ひし白鯨の跡形もなき海の静寂
さくら降るときをひそかに教へられ月よりけふは時計を愛す
失ひし脚を敵地に置き去りに燈台守は故郷に帰る