■ 貌の ■










オセローの嫉妬の渦に呑みこまれ君の肌から噴き出でる黒

透明なジョハリの窓に咲いてゐるわたしの花を撫でる人あり

腰に巻くジャワの更紗の文様に美貌の猫が絡みつく夏

やすらぎの白いカウチのある場所に忘れてをりし君のペルソナ

結局は言ひ出せなくて曖昧に微笑んでゐる俯いたまま

撓りゆく我の背骨を抱きつつすさびし君はゼウスなるかも

大腿にタトゥの薔薇を咲かせてる女と五時にシェラトンで逢ふ

三叉路にゴッホの描いた向日葵が墓標のごとく佇んでをり

オルゴール止まつたあとの静けさが極まりてまたぜんまいを巻く

天鵞絨に閉ぢこめられた君もゐるヘルマン・ヘッセの蝶コレクション

銀色の燭台並べ今宵きり俄か貴族の話しをしませう

白薔薇を手折りし園に戻り来て蝶の交尾をしばし守らふ

繭                                   子羊
「MAYU」というコードネームで潜りこむ シンジケートの暗号は「LAMB」




(c) 山科真白  (Mashiro Yamashina)



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