銀皿に君のなまめく首置きて赤き嘴で啄ばんでみたく

晩鐘の余響のごとき快楽など暮色に滲みて殺められしか

静謐の鬱引き剥がし真向ひのモジリアーニの女が動く

愛の人 我の雪肌奪い来よ俗捨て去りし強き男は

ブリューゲルの民衆より汝がさがし孤独の塗り絵 色埋めんと

朱色の曼珠沙華の繚乱に肌吸はれゆき今宵過ぎけむ

命燃す紅い滴る曼珠沙華ポキンと折りて御首挿げ替え

ランボーとヴェルレーヌの翼にてタブーだらけの放蕩してみたく

心空くonday ジュネの底辺に辿りつきたしただひたすらに

埠頭下 沈めた男懐古してブルーファンタジア花瓶にあふれさせ

斜に構え恋唄歌う若者の横つ面張つて闇に逃亡

剃刀のやうな言葉を弄ぶやはらかな手の男と月を視る

名も知らぬ宙にひろがる綺羅星を ひとつはじいておはじきにする

びろうどの月を裂いて生まれたる激情の貌それもわたくし

手を繋ぐただそれだけのことなのに胸響きあふたしかさありて

肌理荒きはらわた銜えにんまりと黒猫ろんは闇にまぎれて

夏の夜に背に溶けゐる亡霊と前世巡りの扉さがせし

きりきりと裡に棲みたる抽象と がんじがらめの闇に堕ちゆく