ブルージュへ


灰色の雲たちこめるブルージュに皐月の朝に迷ひこみたり


右腕を高く掲げてフランスの墓地より呼べるローデンバックは


あぢさゐは死都ブリュージュにひつそりとちひさき毬を育みてゐる


中世の時をとどめる辻馬車の蹄の音がぽこぽこ響く


たゆたへる靄に抱かれ早朝の狭き運河を小舟でゆきぬ


ブルージュの緑滴る運河には名前も知らぬ魚が泳ぐ


金髪でをんなの首を絞め終へてローデンバックの息近かりき


白鳥が羽を展げて誘ひゐる天の高みにカリヨンの音



2007.7月 山科真白

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