くつくつと林檎を煮つつ人妻の黒き頭蓋はきらびやかなり

レンデルが愛読書と言ふ恋人と白の洋館見つつ寂しも

陽だまりのアールグレイをかきまぜてきらきら揺れる花色ピアス

ざらざらの埋立地に棄てられて帰り道がわからなくなる

まへがきとあとがきのある恋に陥ち序章あたりのはぢらひのキス

白からはなにも生まれない血の滴るるローストビーフパンにはさみて

見透かされ心の痂皮を撫づるごと春吹く風は温かきかな

地面から突き出た腕と握手して朔太郎さんと春を楽しむ

妄想のお花畑は黄色くて削いだ耳までさがしてしまふ

すべやかな肌に花環をかけられた女が椅子に溶けゆく時間

ノクターンが聴きたいといふ君の背にdolceの指をなぞらせてゆく

インタネでかはりばんこに小説を書きて子猫になりゆくアタシ




(c) 山科真白  (Mashiro Yamashina)



* return to tankapage *

** return to toppage **