冬麗ら




冬麗ら 紅玉といふ名の林檎しやりしやり砕く白き歯牙なり


動かざる凍雲の下 約束は解かれふたたび交はされてゐる


阿蘭陀の地図を見てゐる間に時雨降りてあがりて明るくなりぬ


凩が似合ひさうなるもののふが立ち現れるまぼろしの見ゆ


月冴ゆる道を時計は転がりて桜園まで連れゆくつもり


潔く穢れを落とすみづなきや 冬銀河から星がこぼるる


透きとほる音を生みしかしづかなる雪の土地から携帯が鳴る


冬ざるる空に流離ふひとすぢの煙を追ひて夢に入りぬ


山科真白 2006.1月


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