祇園枝垂れ





気管支に音がひゆうひゆう吹き荒れる真白き冬をしづかに越える


揺さぶられ春になつたと告げられて京都祇園の桜の真下


枝々のあまた吊られる老木の枝垂桜に春が落ちくる


わづかだけズレてをりけり死と生の運命の輪のころがる小路


まうすこし京都にゐませう 哀哭のさくらのこゑが消えてゆくまで


スマホから流れるオペラの高音の曳く此糸をなづきに結ふよ


くるくると銀のフォークに巻きつけて墨にまみれたパスタを食す


胸郭の余白にさくらを敷きつめた吾にすこやかな息が通りぬ




山科真白 2012年


* return to tankapage *

** return to toppage **