五月の森


さみどりが眩しく萌ゆる草踏みて五月の森に吸はれてゆきぬ


野茨にかひなを浅く裂かれをり サンクチュアリで贖ふ罪は


幻の馬が翼を仕舞ひたる気配のごとき音を聞きをり


デジャヴ タルコフスキーのモノクロの森を緑の風が横切る


神の扉はここにはあらぬ 不意に欲す氷砂糖の甘さと硬さ


たれぞ知る五月の森でひそやかに禁断の実を樹木が孕む


そそのかすくちなはそろり蛇穴を出でる手筈が整ひにけり


木漏れ日の斑を服に纏はせて五月の森を西に抜けゆく



2006.6月 山科真白


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