春の足裏





首吊りの木は花びらを散らさむか淡き春夜のユダの福音


黄金の光をすべて焼き尽くし白骨のごと月がふるへる


ふりかへるいとまもあらずひそやかに荒野に落つる星を拾へば


甘やかな言葉の果ての裏切りは美しくあれ 春の足裏


葡萄酒とパンを食してそののちにさくらも食めと誰か言ひける


くちびるにきらきら絡む春塵もはかなき嘘も忘れてしまふ


いにしへを映す鏡を欲るユダがラザロのごとく甦り来ぬ




山科真白 『ゑちうど』巻頭作品招待席


* return to tankapage *

** return to toppage **