日野薬師




春ながら初夏の陽気に耀へる京法界寺の青き紅葉は


ひるつかた阿弥陀如来のまへに座し金の崩えたる鼻梁を見つむ


印相のまろきを抜けた風あるや阿弥陀如来は涼やかに笑む


住職のとはずがたりの響かへばスマホのバイブがぶるつと震へ


乳薬師あまたの白きよだれかけ吊されてゐし仄暗き堂


せはしなく家に着くなり鶴紋のまはしの力士けふも負けたり


本尊の御開帳までいくとせか胎内仏を思ひて眠る



2017 山科真白


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