カナリアを食べる女




生ハムにメロンをのせて気取り屋のアウグスティヌスに差し出してみる

例のこと手配完了 満開の薔薇ばらすまでオークラで待て!

ひそやかな孤独は白く我の繭彼女の繭カタチ比べて

置き去りのマリオネットが喋り出す皆と同じに淘汰するわけ?

交はりしことなき人と瞑りたるガラスケースを探しをりけり

くちびるを手でなぞりあひ恋びとと少しみだらな花のしりとり

酩酊のサンタクロースが戯れるイブの娼婦の黒いランジェリー

きらきらのうつろに還る恋を抱き白きの月のくづれゆくさま

くちびるが春を欲しがり菜の花とバジルベーコンパスタにからめ

「髪を切る」決めた翌日携帯にアロマティックに流れくる声

ブラウザにはらはらと雪降らせをり君に逢ふより簡単なこと

ローランサンの女のごとく戯れる女友達 ディスプレイにゐて

透明で光るオブジェになりたいと死を乞ふやうに爪磨きをり

誰も居ず誰も知らない黒電話コールしてみるひつそりの愉悦

幻想の天を疾駆し終はるころブレイクの書に白馬を返す

眉を描く愛人志望のをんなの手小さき黒子ひとつありけり

カナリアを食べる女が背表紙の本をひらいて閉ぢてひらいて

「昼顔」の背徳は美?セブリーヌ ワインは赤くこぼるるほどに

空港で人に嚥まれてこなごなの私が再生されてゆく刹那