冬 に は 毛 糸 を
冬の日は冬の犬見ゆくれなゐの千切れた雲が流るる下に
ひとしきりマンダラゲの話せしゆふぐれ医者の妻は眠りき
真つ白にちらほら紺の混ざりたる百パーセントの羊の糸よ
子羊を意味するといふ名をつけてドストエフスキー小説を編む
霜月の聖母を思ふ子宮にて指吸ふイエスほほゑみたるや
BBCワールドニュースアラファトの昏睡伝へ続けてゐしも
棒針の先の尖りをさしいれる作り目の糸たゆむ黄昏
春に咲く花の球根配りゆく花屋に会ひし冬のひとひに
毛糸玉あまたかひなに抱きゐて冬の微熱をあたためてゐる