冬 に は 毛 糸 を





冬の日は冬の犬見ゆくれなゐの千切れた雲が流るる下に


ひとしきりマンダラゲの話せしゆふぐれ医者の妻は眠りき


真つ白にちらほら紺の混ざりたる百パーセントの羊の糸よ


子羊を意味するといふ名をつけてドストエフスキー小説を編む


霜月の聖母を思ふ子宮にて指吸ふイエスほほゑみたるや


BBCワールドニュースアラファトの昏睡伝へ続けてゐしも


棒針の先の尖りをさしいれる作り目の糸たゆむ黄昏


春に咲く花の球根配りゆく花屋に会ひし冬のひとひに


毛糸玉あまたかひなに抱きゐて冬の微熱をあたためてゐる




2005年1月


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