曖昧を裂けたからだに擦り込んでバーバリーのコート遠ざかつていく
悪意なき金目銀目の気まぐれに笑顔咲かせて騙されてあげる
自転車を漕ぐ君の背にこつと触れた青き乳房を抱いて眠らん
いちめんに死人の血花咲いている白衣ゆるりと脱ぎし暁
道化師がくれた風船握りしめただやーんやーん夕暮れを泣く
満月のをとことをんなはぶだう酒とたわわの嘘を持ち寄りてをり
黒暗に月したたりしこんな夜はルオーの眼になり陰湿を見る
包みこむ君の掌からこぼれくる見えぬ光を盲信してをり
すつと立つ硝子のやうな少年が見上げる先の慟哭の空
ひとり夜は乳房の奥にしまひをりおしやべり子猫を始動してみん
喉元のガラスの玉を震はせて隠した棘を守り抜く彼
闇夜にて緩慢に動く黒猫がキャオンと鳴いてまぎれゆくべし
まつすぐな悲哀の背中描いてるジャンセンの絵は森の中にあり
飴色のコンソメスープに溶けてゐるまろやかな嘘をペロと舐めてをり
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