凶の置き場所

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晴れといふ予報がころりと覆へりざんざん降りの雨のただなか



遡行とてどこへ還らむこの坂はころがるやうに海までつづく



おつとつと とめてくだされ 堪忍や 鞠のやうなる伊予柑酸ゆし



初詣の御籤が凶とはえげつなや 縦折にして小枝に結ぶ



元旦の抱負もかろく吹つ飛ばし専ら望むは平穏なりと



さかしまに天に光て麒麟座は首伸ばしても見つからぬ星



兎に角に払へるものは払へよと夜は豆まき鬼を遣らひぬ



凶友の弓子おネエがいちはやく恵比寿さんにて大吉を引く



土産だと金の鈴つき小判つき「めで鯛守り」を貰ふ手のひら



リベンジといふてよいのか吾も又御籤引くため鳥居をくぐる



えいやつと気合を入れて引き当てた二度目の凶に愕然とする



失せ物は出ず商売利なし待ち人は来るには来るが幸せ薄し



「渡らんとするに舟なく」ではじまれる凶の御籤を引き出しに閉づ



梅が咲き桜が咲きて木瓜も咲く津々浦々に春訪れぬ



方角は南が良いと書かれゐてただ日に当たる 足の先より



じたばたとしてもだうなることもなしすぱつと忘れ遊びにゆかむ



甲子園で虎を応援するこゑのひとりとなりて今宵は楽し



かち割つた氷が水に変はりても手榴弾のごと丸くとどまる



平凡に時はめぐりて良きことも悪しきことさへなかりし日々の



迷ひつつ宝石箱にひそませば真珠に巻かれ凶は沈みぬ



凶を置く場所は心の隅にあり雨のち空に虹が架かりむ





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