夏の終はり
・ 
みづいろの玻璃の器に棲む魚は鱗はらはら晩夏に遺す
晩光に葡萄傷みてゆくさまをかたはらに置き夏は終りぬ
虫籠は蝶の骸を閉ぢ込めて濡れてをりたり 雨に打たれて
貝殻の裏の模様を愛すてふ眩暈のやうな逢魔が時に
さういつか、蝶も小鳥も水底に天翔る羽を植ゑにゆくべし
隠れ家のやうな館に行く坂をしづかに上る須磨の海風
ささやきの息がちひさな輪を作り左の耳を結びてゆくも
コスモスの繊きうなじを搖らさむと初秋の風は辻を曲がれり
土壁を白きドレスで撫づるごと掠れたこゑの蟋蟀が鳴く
2004.9.23
* return to tankapage *
** return to toppage **