熱帯の花火



熱帯の闇に肢体を巻かれゐる夜にじつとりと水滴の浮く

金色に光るけものの目のあまた月は隠れて洞に眠る

星の座の配置の違ふ異国にて藍の浴衣に袖を通しぬ

黄の帯を結びて夜に出づ吾のはつかに先を歩む人あり

アラブ人、中国人、インド人らおのおの笑まひ夜を囲みて

日本人吾らも闇に溶くるとき熱帯の夜に花火が上がる

大輪の空に咲く花崩れゆきまた咲き崩れ光曳きたり

うつしみの浴衣の吾に燃えうつる火薬の花を愛し尽しむ





山科真白 2011年短歌人10月号


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