踊る |
パーティはまづブルースで足馴らし。男女がしづかに一組となる |
見つめあふ視線のままで踊りゆく膝やはらかき男のルンバ |
雲上の床を滑れば盛装のワルツの上手き雷神に会ふ |
激しさに応へるジルバ くるくると右に左にまはされながら |
哀音が細く流れて火のごとき君のタンゴに抱かれてゐる |
吾は今、死にゆくまへの牛となりホールの床に蹄を鳴らす |
美しき風の通ひ路ほほゑみて吾らを森に誘ふこぎつね |
華麗なる鹿鳴館にて忘れたる白手袋を拾ふ伯爵 |
山科真白 2010年短歌人3月号