頤 の 黒 子 ■








乾きたる冬の大地を歩みたきバルテュスの少女ひとりふたりと

バルテュスの少女の習ふ六弦の楽器を抱く冬の陽だまり

調律を終へたピアノがふるふるとこの指先を呑みこんでゆく

黒鍵とAの白鍵の透き間からスケルツオの音ははじまる

褐色の素焼きの壷でひらきたる花火のごとき花の一輪

頤の黒子に水を含ませてうすみどりなる発芽を待ちぬ

身のうちに木々を育むうたかたの甘き魔法をほどきゆく夜






 山科真白  2002.1.3





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