2000年 冬 神戸ルミナリエ      photo YukiyoOsaki




どこまでが金色の夢。英吉利のサムライといふ陶器を買ひぬ



跨ぎゆく世紀の夜に降るといふ星のかけらをさがしにゆかな



布を裁つ鋏の音と暮るる夜に菫色した星は出でをり



サルビアのやうな女と湯に浸かる年の終はりの私のひと日



ゴスペルが流れる街の夕暮れにコーデュロイの君は消えたり



イアーゴに囁かれてゐるらしき窓から見える茶色の男



摘みたてのバジルを散らし焼き上げるイタリア色の朝のピッツア



カチカチと蹄を鳴らし生け贄にされた羊が追ひかけてくる



冬に咲く薔薇が持ちたる青い棘。奪ふものなど何にも無くて



ポケットに抜いたばかりの智歯入れて冬ざれの径歩みて戻る



人工の雪を頭に積もらせて皇帝ペンギン真悲しく佇つ



子を生まぬ友は異国の海にゆき水の温みを我に説きたり



水無月に剪り落としたる紫陽花を吊るしたままで冬を越えゆく



盆に乗すアガタの乳房に似たる陽が空を染めずにそのまま没む




詠 山科真白  2000.12.31(Sun)




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