桜桃と天然真珠の球形のいびつで遊ぶ夏のたまゆら


やはらかき土踏まずに埋もれゐる貝の化石はひそやかならむ


背なに吊るいつぽんの糸きゆんきゆんと引き上げてゆく朝のありけり


初夏のはつか汗ばむ陽の下で肩より透けるこころのかたち


ふうはりと虞姫の纏ひし緋の色の衣のやうに揺れるひなげし


「打棄てられた都市」へと向かふ憧憬にクノップフの豹道連れにして


夕立や 絵になりさうな風景がたちまち濡れて破れゆくまで


目隠しをしてゐるあひだに巻き戻す茨姫の眠りの時間





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2008年10月号