秋の宵澁澤龍彦晩年の喉に開きし孔を思ひぬ
病院デ幻覚見タル澁澤の霜月なかば闇は行き交ふ
その秋にこゑ失ひし澁澤のこゑがポタポタ溜りゆく夢
幻覚ハ見タルコトナシただ夢は赤い胡桃を転がすやうに
縊れても死ねはしないと澁澤が気管の穴を触はりたるとき
唐突に葡萄食べたしアレキサンドリアなる名の葡萄食べたし
澁澤の言葉の珠を呑み込めば乱れざりたる秋の眠りは
美しき秋のくらがり言の葉は色づきてのち散りてゆくなり
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