TAMAGO
-->2002.10.27-----
M
ashiro
Y
amashina
*** Monologue *** ある日、友達の家のキッチンで 卵の殻で育つ植物を見た。 本物の卵殻に見える? うん。 違うの。これは卵殻を模した ちいさな入れ物。 何を入れてもいいんらしいんだけどね。 土を入れてみたの。 そうなんだ。 うん。 なんかさ、不思議だね。 何? 卵殻の割れた中から 植物が育っていくのって。 だから、本物じゃないって(笑) うん。(笑) けど、なんか面白いなって思ったの。 うん。 キッチンの出窓には光が溢れる。 器がちいさくてもこれだけ陽があれば育つね。 それが、この植えてるのはヘンなのよ。 夜に育っているらしいの。 名前? 忘れちゃった。
やはらかき羽ひとひらをつけしままさくらたまごは売られてゆきぬ
完璧にきみとしろみを持つからだいくつも保冷されてゆく秋
卵殻をぱつくりふたつに割ることを無造作に終へ朝も夕べも
黄昏の光に透ける鶏卵を見分けられずに日常は過ぐ
卵殻を器に育つ香草がひゆるひゆるひゆると伸びる終夜よ
濡れた紙満開の花ソーダの気泡脆きものらがざわめきてゐる
なにひとつ覚えられないわたくしはちひさな卵をひとつ抱くだけ
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