寓意と象徴
(c)Musee Cluny Paris
| 彼女は片方の腕を一角獣へと傾けて垂らし、一角獣はいそいそと身をもたげ、立ち上がり女の膝に前脚をのせている。 彼女が持っているのは鏡なのだ。 そら、ね。 一角獣に自分の姿を見せてやっているのだよ。 アベローネ、ぼくはきみがいるものと考えている。わかってくれる?アベローネ? ぜひとも、わかってくれなければね。 ------リルケ 『マルテの手記』文中より----- |
処女といふ聖なる膝に凭り掛る一角獣が風を聴きけむ |
肩越しに にゆつと 顔出す死神を背に遊ばせてジゼルを踊る |
春空に虚ろな穴を掘り進む メメント・モリと呟きながら |
楽園に白きスミレは咲き乱れ狂ひ人らが歌ふ讃美歌 |
天鵞絨のうへに逆さに置かれたるリュートは堅き静物となる |
龍彦といふ名のひとよ仏蘭西はけふもマイナス二度であるらし |
甘たるき果実むしやぶり喰ふ春は謀叛を犯す女人になりぬ |
きぞの夢今宵の夢が天秤にゆらゆら揺れる春でありけり |
山科真白 2005年短歌人5月号