空の歌 春編





春空を十字に映すぎんいろのクルスを君は肌に置きにき


ヴェネツィアの侏儒が空に放ちたる鳩が消えゆく春の雲なり


恋人の纏ふ衣を嘗むごとく白き霞は漂ひたるも


しづかなるこゑのとぎれてゆふぐれは朧朧の春に入りぬ


春陰や吾知らざりし人喰ひの村に咲くとふ雛菊の花


いにしへの神を思ほゆ花曇りたはむれに恋ふ森に迷ひて


  初虹の色のすべてを身につけし少女が笑ふふふふと笑ふ


歩みゆくむかうに陽炎立ちにけりサロメはをどりはじめけるかな



山科真白 2005.6月




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