夢十夜目醒むるなかれ忽ちに百年過ぐと匂ひたる百合


昏々と眠りて夢を見ぬならば夢魔夢魔おまへさらつてゆくぞ


吾の夢が録画可能になるといふ凄まじきかな未来に向かふ


気がつくと夢の書簡はバクバクと獏に食はれてゐたのですから


鳥のこゑ川のせせらぎ近頃は夢さへ癒しヴァージョンがあり


経立といふ語がふかく耳底に残れど夢の遠野は淡し


汁椀を開ければ蛇がうごめきぬ身も凍る夢吉夢との由


ぴたぴたと夢遊の足音に酷似する十八階の水漏れ如何に


華やかに夜な夜な死んでみませうよ サラ・ベルナールは柩に眠る


一列に死人花咲く田のふちで夢は極まり果てんとするも


夢で住む家にふはりとあらはれる猫の名前を思ひだせない


美しき天使は百合を忘れたり マリアはいつしか午睡の気配





(c) 山科真白  (Mashiro Yamashina)  


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