* 二人言 * chiaki & mashiro

展覧会:『ウィンスロップ・コレクション』 (no.17)
Date: 02/10/15 17:07

■ ウィンスロップ・コレクション展 (2002年9月14日〜12月8日)  国立西洋美術館

真白:モローの絵、それも『出現』がくるらしいと千秋から聞いたのは、ヨーロッパから帰国してすぐのことだった。
『ウィンスロップ・コレクション』は銀行家のグレンヴィル・L・ウィンスロップが収集したコレクション。その沢山の絵画、工芸品は彼の死に際し、母校のハーヴァード大学に付属するフォッグ美術館に寄贈された。
しかし、故人の遺志により美術館の門外に出ることはなかったらしい。

モローはこの主題で何枚かの絵を描いていることは知っていたが、フォッグ美術館に『出現』の一枚があることも知らなかったし、その他のモローの絵ほか、アングル、バーン・ジョーンズ、ブレイク、ワッツ、ホイッスラーなど世界初公開の86点を是非観たいと思った。
外に出ることのないコレクションが建物の修復のため今回、東京、リヨン、ロンドン、ニューヨークと展覧会が開催される。国内では東京のみの開催で急に東京行きを決めた。
9月14日に東京に着き、9月15日に西洋美術館に千秋と出かけた。
春の『プラド美術館展』も千秋と一緒に観覧したけど、今回の展覧会も一緒に観られたことはとても嬉しかった。

『出現』という絵は、サロメの踊りの褒美に斬首されたヨハネの首は血を滴らせながら空中に浮き、サロメはその首を左指で差し、二人の視線は真っ直ぐに絡む。ヨハネの首は眩い光を自ら放ち、サロメは神々しいほど美しい。

(c)Harvard University Art Museums

サロメは聖書ではマルコ伝にもマタイ伝にもヘロディアの娘としか登場しないの。サロメって名前は出ないのね。いつからサロメはサロメなんだろうと・・・パウロと同世代の歴史家ヨセフスの「ユダヤ古代誌」に登場すると最近教えて貰いました。2002/10/15(Tue) 17:06


千秋:真白がわざわざウィンスロップ・コレクションを観に来てくれたおかげで、私も早く観ることができました。
世界初公開で日本では東京でしか開催しない展覧会なので、期待して出かけたけど、本当に良かったです。ウィンスロップ氏の絵の好みが窺えます。私の好みにも近いです。
モローの『出現』はモロー美術館にあるものと似ているけど、色合いが違っていました。サロメの指す指と視線に強い意志を感じますね。サロメはとても美しく描かれていて、特に肌がきれいでした。肌がきれいといえばアングルの描く絵も肌がきれいでしたね。チラシ等で見ていたものよりも実際の絵はやっぱり違いますね。2002/10/16(Wed) 14:44


真白:そうだね。モローはサロメを主題としてたくさん描いているけど私は『出現』が一番好きです。モロー美術館にもルーブルにもあるけど、もしかしてウィンスロップのものが一番好みかもしれないと思いました。
本当にアングルは写真より実物が絶対いいね。


(c)Harvard University Art Museums
これはチケットを写真に撮ったもので写りがとても悪くって申しわけないけど本当に綺麗な絵でした。アングルはほかにも『ラファエッロとラ・フォルナリーナ』や『聖サンフォリアンの殉教のための習作』とかもきていましたが、この『奴隷のいるオダリスク』が一番よかったと思う。
それからロセッティをこの展覧会ではたくさん観たように思う。
ロセッティらしいロセッティを・・・


(c)Harvard University Art Museums
2002/10/17(Thu) 20:44


千秋:今回観た『出現』が好きですかぁ。私はあまり区別つかないけどね。本当に似たレイアウトですね。モロー美術館のを見てみたいなぁ。今回来ていた『出現』は背景に描かれているものが、なんだか仏像に見えてしょうがないんですけどね。
アングルの『ラファエッロとラ・フォルナリーナ』は不思議な絵でしたね。なんか見たことある女の人だと思って観ていたらラファエロの描いた『ラ・フォルナリーナ』がラファエロと一緒に描かれているということでしょう。髪にかぶっているのが特徴的だからわかったけど。その絵の中でラファエロが描いているのがまさに『ラ・フォルナリーナ』。こういう風な格好で描いているとは思えないけどね。でも似た題材でアングルはいくつか描いているみたいですね。よくみると奥に置いてある絵が『小椅子の聖母』で遊び心がある作品ですね。
ロセッティはたくさん観ましたね。バーン・ジョーンズやワッツ等ステキな絵がいっぱいありました。2002/10/22(Tue) 16:10


真白:『出現』は比べてみると相違点は多々あるの。ウィンスロップのものは金髪だけどルーブルのは黒髪。聖者の首が放つ強烈な光の環もルーブルやモロー美術館のものは単に光として描かれてるけど、ウィンスロップはヨハネの顔の背景は赤。サロメの衣装も目の醒めるような赤。
画面の中で、サロメの衣、空に浮くヨハネを囲む光の内部、ヨハネから滴る血、床に長く伸びるような血溜り、侍従の服。その侍従が持つ長い剣の先に生々しく残るヨハネの血の赤。これらの赤が精密にして荘厳なこの絵にすごくインパクトを与えてると思った。
ウィンスロップのは後ろのは仏像ぽく見えるけど、ほかのモローの絵からして、これは義父のヘロデ王だと思います。

『ラファエッロとラ・フォルナリーナ』は千秋の言うように不思議な絵だったね。
ちょっとこの絵、図録を写真に撮らなかったんだけど、この描きかけの絵は確かに『ラ・フォルナリーナ』だね。イタリアでは観ませんでした。すぐ近くのホテルに泊まっていたのに・・・千秋は観ましたか?
この髪に巻いているターバンは人妻を表すんじゃなかったですか?
これは↓バーン・ジョーンズの『フランマ・ウェスタリス』

(c)Harvard University Art Museums

こちらは女祭司みたい。
よく観るとこの時代の女の人って布で髪をよくまとめているような気がする。アングルの『オダリスク』(ルーブル)もそうだし、ムーアとかも・・・2002/10/23(Wed) 18:29


千秋:そうですか。『出現』の後ろに描かれているのはヘロデ王かぁ。サロメの髪の色も絵によって違うのですか、ルーブルのは観た気がするけど、あまり覚えていないです。

『ラ・フォルナリーナ』は観ました。パン屋の娘とかいう意味ではなかったっけ?人妻だったのかなぁ。確かに髪に布を巻いている女性の絵は多いですね。
でもこの絵をもとにラファエロも一緒に描いちゃうってことが面白いですね。
バーン・ジョーンズの『フランマ・ウェスタリス』はきれいな横顔ですね。バーン・ジョーンズといえば『天地創造の日々』は本当は6点の絵なんですね。天地創造の1日ごとの絵になっているのね。この前観たのは『第5日』『第6日』ですね。6点一緒になった所を観たら壮観でしょうね。2002/10/24(Thu) 10:51


真白:『出現』は好みもあるけどモロー美術館のよりルーブルの方が綺麗かもしれない。
サロメといえば、ビアズリーの挿絵もいくつかきてたよね。こちらは、オスカー・ワイルドの戯曲のためのものだけど、よく目にするものも来ていました。

あ、そうそう。パン屋の娘。
そうだよね。一緒に描いちゃうのが面白いよね。けど、これ、アングル結構気に入ってたらしいね。

『天地創造の日々』も不思議な印象を持つ絵だった。水晶みたいなもののなかに天地創造の物語が描かれてるんだよね。これを持っているのは天使。この絵、よくよく観たら多くの寓意が隠されているのかも・・・本当6枚観たら圧巻だろうなぁ。

6枚と言えばミレイの『イエスの譬え話のための6点の素描』もよかった。小さな大きさの水彩の絵だけど独創的な美を感じました。

あとブレイクも何枚か来ていたけどこれ。(笑)
『祝福するキリスト』

(c)Harvard University Art Museums
2002/10/24(Thu) 22:30


千秋:ミレイの『イエスの譬え話のための6点の素描』きれいでしたね。水彩画なのに色がよく残っているもんですね。

ブレイクの『祝福するキリスト』はかわいいキリストですよね。キリストらしくないかなぁ。

あとワッツの『アリアドネ』の説明してくれたよね。私もその後ちょうどギリシャ神話に関する本を読んだので、面白くなりました。
バーン・ジョーンズの『真鍮の塔が建設されるのを見るダナエ』とか。意味がわかるとだんだん興味が湧いてきますね。投稿日:2002/10/28(Mon) 16:21


真白:そう言えば思い出したんだけど、ボスの『快楽の園』。この祭壇画の扉を閉めた戸に描かれている球体・・これはプラドだから千秋は見たんだよね。天使が持っているわけじゃないけど水晶のような透明な球で思い出しました。

アリアドネはギリシア神話主題で、クレタの迷宮に化け物が住んでて一度ここに入ると生きては出て来れなかった。勇敢なアテネ王子のテセウスはアテネから船でクレタにやってくる。
テセウスに恋をしたアリアドネはテセウスがラビリンスで迷子にならないように赤い毛糸を彼に持たせる。アリアドネの助けもあってテセウスは化け物のミノタウロスを倒した。
結婚の約束をしたのにテセウスは眠っているアリアドネを残して去ってしまう。
ワッツの描いたアリアドネはこのテセウスに去られてそれを完全に悟り放心状態でいるところを描いている。手に握られたテセウスに渡した毛糸の赤が印象的で、この話を知っている人には、アリアドネがどの状態にあるかすぐ理解できる。
ギリシア神話も聖書も西洋絵画の主題に多く使われているので、話や人物のことを知っていたらとても面白く観られるよね。

最後にギリシア神話主題のモローをもう一枚。
『キマイラ』

(c)Harvard University Art Museums
2002/10/29(Tue) 23:29


千秋:ボスの『快楽の園』はわからないかも。見ているのかもしれないけど、プラド美術館はたくさんの絵があってどれがどれか覚えていないのもあります。ボスは好きなんだけどなぁ。

ワッツの『アリアドネ』の表情は本当によくストーリーを表していますね。恋人に去られて放心状態の感じが出ていますね。毛糸を持っている手にも力が入っていないみたいです。

モローの『キマイラ』もギリシア神話からの題材なんですね。でもキマイラの姿はモローのオリジナルっぽいですね。キマイラにしがみつく女性と全く気にする様子もなく無表情で天をみすえているキマイラが対象的で印象に残る絵です。
この女性もそうですが、今回のウィンスロップ・コレクションは美しい女性の絵がいっぱいありましたね。男性の絵もきれいだったけど、肌がみんななめらかでした。
観た後に真白といろいろ話して、いろいろ発見があって面白かったです。2002/11/05(Tue) 17:50




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