* 二人言 * chiaki & mashiro

絵画:『受胎告知』  (no.24)
Date: 03/07/23 15:30

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『受胎告知』 サンドロ・ボッティチェリ 1489年
(c)Galleria degli Uffizi :Firenze


千秋:今回のテーマは絵画の『受胎告知』についてです。大天使ガブリエルがマリアにイエスをみごもることを告げにくるシーンを描いたものです。いろいろな画家が描いているのですが、人により特徴がありますね。
ほとんどの絵は大天使ガブリエルが左側に描かれています。マリアが右側。違う絵もあるけど、このパターンが多いです。マリアは目をふせていることが多いのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチのマリアは顔をあげているのが印象的です。マリアの意志を感じるので私はこの絵が好きです。2003/07/22(Tue) 16:42


『受胎告知』 レオナルド・ダ・ヴィンチ 1472年
(c)Galleria degli Uffizi :Firenze


真白:『受胎告知』という主題は本当にたくさんの画家たちが描いてきたものだよね。
ダ・ヴィンチやボッティチェリをはじめ、いくつかの同主題の絵を見ていくことで、ふたりのおしゃべりからなにか新しい発見があるのではないかと楽しみです。

まず、主題の大元なる聖書の記述をみてみようと思うんだけど、今回はルカの福音書からちょっと長くなるけど引いてみます。

----------ルカ1 26-38 6ヶ月目に天使ガブリエルは、ナザレというガラリアの町に神から遣わされた。ダビデ家のヨセフという人の許嫁ののおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名は、マリアといった。天使は彼女のところに来て言った。「おめでとう。恵まれた方。主があなたと共におられる」マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶はなんのことかと考え込んだ。すると天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵をいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名づけなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子といわれる。神である主は、彼に父ダビデの王座を下さる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない」マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。私は男の人を知りませんのに」天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから生まれる子は聖なる者。神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリサベトも年をとっているが男の子を身ごもっている。不妊の女といわれていたのにもう6ヶ月になっている。神にできないことは何一つない」マリアは言った。「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように」そこで天使は去っていった。----------

文中のエリサベトが身ごもっている男子というのは、のちに、キリストに洗礼を施し、サロメの舞いの褒美とひきかえに斬首される洗礼者&預言者のヨハネのことで、ヨハネを身ごもったエリサベトの所にもガブリエルはヨハネの受胎告知にも訪れています。
ルカの福音書はこの場面からはじまり、ヨハネ受胎の半年後にガブリエルはマリアの前に現れたと書かれています。

マタイの福音書にもキリスト懐妊のことが書かれてあるけど、マタイの方はヨセフへのお告げがメインです。2003/07/23(wed) 17:30


『受胎告知』 シモーネ・マルティーニ 1333年
(c)Galleria degli Uffizi :Firenze



『受胎告知』 フラ・アンジェリコ 1333年
(c)Museo di San Marco :Firenze


千秋:ボッティチェリの『受胎告知』もすごくきれいですね。
でもダヴィンチのとは対照的にマリアは告知されることに抗っているような雰囲気がありますよね。
写真のフラ・アンジェリコの絵もマリアは顔をあげていますね。
このようにいろいろな『受胎告知』を比べると面白いですね。
もうひとつの脇役は白いユリの花です。ガブリエルが持っていることが多いです。でも持っていないものもあるし、室内に飾ってあるような絵もありますね。この白いユリはマリアの処女性を表していると聞いたことがあります。このユリの絵もボッティチェリとダヴィンチのは特にきれいですね。

マリアの親戚のエリザベトにもガブリエルが受胎告知に行っているというのは、初めて知りました。その身ごもった子どもがヨハネだというのも知りませんでした。エリザベトの受胎告知の絵もあるのかなぁ?2003/07/25(Fri) 11:34

真白:百合などのシンボリズムに関してはまた話したいんだけど、ルカ福音書でのヨハネの受胎告知についてちょっと訂正。
エリサベトの所にガブリエルは来たのではなく、祭司のザカリア(すなわちヨハネの父になる人物)が香を焚いていると天使が香壇の右手に現れ、あなたの妻のエリサベトは男の子を産むと告げるのでした。
そして、この日からザカリアの口はきけなくなって、ヨハネが生まれて8日目。ガブリエルの言ったとおり、その子をヨハネと名づけるとザカリアは口がきけるようになったらしいです。
このザカリアの前にガブリエルが現れる場面を主題とした絵画を探してみたけど見つけられませんでした。

ルカ伝のマリアの受胎告知の次の記述は、マリアのエリザベト訪問です。この場面は絵画の主題になっているよね。
下の絵は千秋は実物を見てて、私は見ていないフィレンツェのピッティ宮殿にあるラファエロの『小椅子の聖母』です。
この絵には幼いイエスを抱くマリアと彼女たちをみつめる手をあわせた幼いヨハネが描かれています。
この絵も本当にすばらしい。2003/07/26(Sat)22:28


『小椅子の聖母』 ラファエロ 1514年
(c)Palazzo Pitti:Firenze


千秋:ラファエロの『小椅子の聖母』好きです。この横にいるのが、ヨハネなんですね。かわいらしい。後の運命を思うと、ちょっと意外です。
ガブリエルはヨハネの父の所に訪れるのですね。その日から、ヨハネを名づけるまで口がきけなくなるとか、いろいろな話があるんですねぇ。知らないことがたくさんあります。

『受胎告知』の絵もいろいろな人が描いていますが、同じ画家でもいくつか描いていますよね。絵によって、いろいろとイメージが変わります。告知を受けたマリアの受け止め方やガブリエルとの距離感が違うような気がします。ボッティチェリもウフィツィ美術館にもうひとつの『受胎告知』があったのを思い出しました。2003/07/30(Wed) 16:27

真白:この>ボッティチェリもウフィツィ美術館にもうひとつの『受胎告知』があったのを思い出しました

っていうのはなんかすごい発見をしたような気分です。
私はまず、ウフィッツィ美術館発行の図録を観たの。だけど、載っていなかった。おかしいなと思って調べてみると、確かにウフィッツイにもう一枚ボッティチェリの『受胎告知』は存在するようだけど、どうもそれは一般公開されていないようだということがわかってきました。今は整理されて場所もうつされたようで公開しているのかなぁ。

この件に関して、真白と一緒に(或いは真白より熱心に)調べてくれたのは、友達のえかきのきさんですー
彼のサイトはこちら⇒http://www.ekakinoki.com/
2003/08/06(Wed) 09:46


『受胎告知』 サンドロ・ボッティチェリ
(c)Galleria degli Uffizi :Firenze


千秋:そうそうこの絵です。探させてごめんなさい。この絵もきれいですよね。構図がいいと思います。
私も、日本で公開されるまで、知らなかった絵です。

シンボリズムに入るかと思うけど、マリアの服装について話していいですか?赤い服に青い衣を羽織っていて、白いヴェールをかぶっているのが、一般的ですね。ヴェールはないのも多いかな。赤は慈愛、青は天、白は純潔を表すといいますが、これも画家によってそれぞれなので、いろいろ見比べると面白いですよね。この青がまたきれいなんですよね。絵の印象を決定づけているような気もします。2003/08/12(Tue) 14:12


『受胎告知』 エル・グレコ
(c)大原美術館 :岡山県倉敷市


真白:上の写真はふたりとも観ているエル・グレコの『受胎告知』です。赤い服の上に青い衣白いベールという典型的マリアスタイルの絵ですね。
千秋の言うとおり、色の象徴はそのとおりです。
あと、受胎告知に描かれることの多いものといえば、「鳩」そしてマリアが開いている書物は「イザヤ書」
ガブリエルのアトリビュートにもなってる「百合」はフランス王家の紋章にもなってるよね。
受胎告知でガブリエルが持参するものは百合の他にオリーブや棕櫚などもあるけど、フィレンツェ市の象徴が百合だったためにシエナ派のマルティーニなどは百合を避けたりしたらしいです。
手ぶらでくるガブリエルもいるよね。2003/08/16(Sat) 12:02


千秋:エル・グレコの『受胎告知』はダイナミックな構図ですよね。他の『受胎告知』と位置が違うし、ガブリエルが飛んでいる。ガブリエルが飛んでいる絵は時々あるんだよね。
「鳩」もよく描かれているけど、描かれていないのも結構多い。「鳩」は聖霊を意味するそうですね。ダ・ヴィンチやボッティチェリの絵も鳩らしきものは見当たらないです。
こういう構図や鳩の有無などは、その時代の背景や教会の考え方とかで、変わってくるようですね。百合の花とかもそうですね。描いている画家の意図も伝わってきて面白いです。2003/08/19(Tue) 15:48

真白:グレコの『受胎告知』は同じ構図殆ど同じ大きさの絵が三枚存在します。一枚は上の写真の日本の大原美術館のもの。もうひとつは、アメリカ、オハイオのトリード美術館。そしてブタペスト美術館。私は、ブタペストのものと大原のものを観ています。千秋と一緒に観たミレーの『種をまく人』山梨&ボストンのように見比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
この受胎告知。面白かったです。ガブリエルのことをあまり書かなかったのはまた『天使』でも主題にして話したいなぁなんて思ったりして。
では、『受胎告知』とりあえずここまでにしましょう。ありがとう。2003/08/22(Fri) 23:02




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