* 二人言 * chiaki & mashiro

画家:『カルロ・クリヴェッリ(Carlo Crivelli)』 (no.30)
Date: 10/05/20 00:13

真白:今回の二人言は、イタリアの画家のカルロ・クリヴェッリを中心にふたりで話していきたいと思います。カルロ・クリヴェッリはあまり知られている画家ではありません。
←この絵は、アムステルダム王立美術館蔵の≪マグダラのマリア≫です。クリヴェッリの名前は知らなくてもこの絵はどこかで観たような・・・という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。顔の部分が、サラ・ウォーターズの『半身』の表紙に使われています。
クリヴェッリを日本に紹介したのは、澁澤龍彦かもしれません。澁澤は自身の書物のなかでこの画家について短い文章をいくつか遺しています。
千秋も私もオランダでこの絵の実物を観ているのよね。でも、ここのところ急にクリヴェッリが気になりだした理由は、私が携帯を新しくし、その携帯の待ちうけにこの絵を使うようになったからで、そのことを千秋に話すと、千秋も待ちうけにしてくれたんだよね(笑)

千秋:クリヴェッリの<<マグダラのマリア>>この絵は知っていますが、この画家のことは私も詳しく知りません。とても印象に残る絵です。
真白が気になる絵というのもわかる気がします。
マグダラのマリアとは、イメージがちょっと違う気もします。
身分が高い女性の雰囲気ですよね。色もゴールドっぽくて、きれいです。もう一度、この絵の実物をじっくり見てみたいし、クリヴェッリの他の絵ももっと見てみたいですね。

真白:この絵は、誰が見ても彼女がマグダラのマリアだということは明確なんだよね。彼女のアトリビュートの香油壷を持っているし、聖母とは違ってこれまた彼女の装束ともいうべき、緑の下衣に赤い上衣。
甦ったラザロの妹のマリアとイエスの復活に立ち会ったマリアはしばしば混同されるけど、ラザロの妹のマリアは、イエスの足を高価な香油を塗り、自分の髪でぬぐったことになってるので、西洋絵画の中のマグダラのマリアは髪の毛が長いのが殆どだよね。(復活にも香油を持っていった。これはマグダラのマリアの記述あり)
このクリヴェッリのマリアに惹きつけられるのは、輝くようにうねる金髪も立ち姿も装飾品もそうなんだけど、やはり、彼女のクールなイメージの美貌にまず惹きつけられる気がする。
顔の部分をアップにしてみます。
なんとも言えない表情だねぇ(笑)首飾りも面白い。赤珊瑚とオニキスと真珠だろうか。

千秋:あ〜本当だ!おしゃれな首飾りをしていますね。よく見ていなかったです。赤珊瑚、オニキス、真珠かぁ、確かにそのように見えますね。
つい顔の方に目が吸い寄せられてしまいます。美しい顔立ち、クールな表情ですね。
切れ長の目の感じがルーカス・クラナッハの絵を思わせます。クラナッハが好きな人はクリヴェッリが好きなんじゃないかなと思います。
手の形は仏像のような、指のそりかえり具合じゃないですか?

真白:真ん中のは大きい絵を見ると青みがかっててオニキスじゃなくサファイアかも。髪にもルビーのような赤いのが見えるね。うん。指が仏像に似ているよね(笑)
金髪のうねり具合はボッティチェッリも想起するよね。クリヴェッリは1430年頃から95年までヴェネツィアに生きた画家で、ボッティチェッリとほぼ同時代を生きた人なんだよね。クリヴェッリは不倫か人妻誘拐かで追放されたとかされないとかで、フィレンツェのボッティチェッリともしかして面識はあったかも。
クラナッハは1472年なので少し後。というか彼は北方ルネサンスだけど似た部分はあるのが不思議だよね。

クリヴェッリの絵をもう一枚。
≪受胎告知≫ ロンドンナショナルギャラリー蔵

この絵も不思議な絵だと思わない?

←部分



千秋:そうだね
≪マグダラのマリア≫はボッティチェッリの雰囲気があるね。
≪受胎告知≫については、今までいろいろな受胎告知を見たけど、クリヴェッリのは最も個性的な絵だと思います。
でも、私は好きですよ。絵の中にいろいろな物を描きこんでいて、余分な絵が多いのです。それが面白いんです。
一つ一つに意味がこめられているのかと思うんだけど、孔雀とか隣の家の人とかフルーツ?など、見ればみるほど発見があります。
でも私が、目がいってしまうのは、大天使ガブリエルの

羽なんです。変わった色の羽は時々あるけど、クリヴェッリの絵は、茶や赤っぽくて、妙に写実的ですね。

真白:ガブリエルに限らず天使には羽が描かれて画家によって個性があって面白いよね。リッピのガブリエルは孔雀だったり、フラ・アンジェリコのは色がグラデーションでステキ。クリヴェッリの羽はリアルな鳥類の羽みたい。鷲とか鷹とか。
そのガブリエルの隣にいるのは誰だろうと思うよね。澁澤によれば、この絵はアスコリの修道院の依頼で描かれたもので、ガブリエルの横にいるのは町の模型を持ったアスコリの保護聖人の聖エミディウスらしい。「ちょっと聞いてくださいこの町はね・・」って話しかけてるみたいだよね。当のマリアはなぜか鉄製の柵のついた窓のなかで彼らの存在に気づいてなさそうだし(笑)
クリヴェッリは、果物を絵に描きこむのがすごく好きだったようなんだよね。

これなんか強烈(笑)↓
≪ろうそくの聖母(玉座の聖母子)≫ ブレラ美術館蔵

千秋:大天使ガブリエルは、ヘアスタイルも変わってますね。きれいにカールが整ってます。ガブリエルの横の人は町の模型を持っているから、プレゼンテーションしているように見えるんだよね。家と家の間の狭い所で、何をプレゼンしているのだろうって感じ。建物が遠近法で、精密に描かれていて現代的な絵に感じます。
そうですか、果物を描きこむのが、好きなんだぁ。≪受胎告知≫の下の方に描かれているりんごみたいな物の横に描かれているのは、なんだろうと思って。黄色いゴーヤみたいなやつ。
≪ろうそくの聖母(玉座の聖母子)≫は、たっぷり果物が描かれていますね。なんかおいしそう。

真白:あはは。プレゼンは面白い!
≪受胎告知≫の下の果物は、澁澤によれば、メロンと胡瓜だそう。胡瓜というのはズッキーニのことだろうねぇ。色が黄色いんだけど・・・横のも林檎に見えるよねぇー。でも、大きさの比率を考えるとメロンなのかなぁと。でも、聖書的なモチーフの解釈なら、林檎の方が面白いよね。
≪ろうそくの聖母(玉座の聖母子)≫の聖母子のまわりの果物もよりどりみどりですごいね(笑)なぜ、イエスはこんなにも面白くなさそうな表情をしてるのだろうなぁ。
マリアも物憂げでなぜか王冠をかぶっている。千秋はブレラには行ったのだった? 私は、行ったら休館日で入れなかったの。

千秋:そうなんだ、メロンと胡瓜?ズッキーニにしても、大きそうだね。
《ろうそくの聖母(玉座の聖母子)》は、ホント、マリアもキリストも浮かない顔をしていますね。明るい色調のわりには、元気ないぞ。こんなにおいしそうな果実に囲まれているのに(笑)。
ブレラ美術館は行ってないです。イタリアには2回行ったけど、ミラノに行ってないのです。当然《最後の晩餐》も見てないので、ミラノは気になる所です。クリヴェッリの《ろうそくの聖母(玉座の聖母子)》も見てみたいので、いつかミラノに行けるといいな。真白、案内を頼みます。




Questions by PrettyBook