Sanctuary



Albert・Joseph・Moore



夕映えを背負ひて来るをとこ一人くはへタバコに火をつけぬまま  久仁子


ひそひそと囁やかれたる暗号を神の微睡む禁野に放つ  真白


春光へダンベル軽く曲げ伸ばす謎解きパズルはまらぬままに  とも子


謎解きを為したる様にききとして今日の太陽山際に落つ  栄子


つぶやきは五月闇より漏れいでてはかりごと為す家臣のやうに  久仁子


くちなはをぐしやりと踏まむ春の夜はまことの罠に嵌りゐるかな  真白


哀しみの尖りたる部屋詞華集に栞挿すなりサクラソウ咲く  とも子


難解な歌を読み解く楽しさも今は昔の千載和歌集  栄子


この宵は兵士となりてよこたはるわれを癒さむピラティスの動き  久仁子


マグダラのマリアの香油にひたしゆく足より神が満ちてゐる夏  真白


蓬々として漕ぐ自転車明け方に母を殺めて逃ぐるかのやう  とも子


不可思議のドラマ生まれていたるやもふかく深く杣道続く  栄子


宝相華わが指先より伸びゆかむ翳を払ひて立ち上がる今  久仁子


満月や 君に貰ひし白玉のまろき光を重ねけるかも  真白


夏の暁ジャニスイアンは鳥の声して歌ひ初め奇跡始まる  とも子


梅雨の雨降りみ降らずみ煙るごと合歓の花咲くわれの故郷  栄子



2010.春夏 山本栄子・平居久仁子・山野とも子・山科真白


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