人形と毒薬






:: 真白
海を背に並べられたる人形のお口に入れる飴と毒薬
:: 初枝
海風に髪を吹かせて占ふは明日の天気とあなたの行方
:: 真白
貝殻は真白く鎧ふ薔薇の木の樹液を啜る貝殻虫さへ
:: 初枝
死神のそつと微笑む夢を見て腕を大きくラヂオ体操
:: 真白
いかづちの光広ごる地の果てに蜘蛛はしづかに琥珀に眠る
:: 初枝
現身の蜘蛛は眠れるそのままに琥珀に永遠回帰を奪はれ
:: 真白
鞭を持つル・ザロメ乗る荷馬車牽くニーチェとパウルのくちびるあはれ
:: 初枝
ひらひらとをとこ酔はせば他愛なく靡きてぞろり地獄に堕ちる
:: 真白
雪の来る気配に風はしづまりて ディオニュソス的あなたが嫌ひ
:: 初枝
心から笑つた記憶を捜しをり十五分のパックのあひだ
:: 真白
愛しく真水にかへすやはらかき、みどり、嬰児こゑの響かふ
:: 初枝
太陽をひたすら浴びて広がれる大葉の苦みを噛み締めてをり
:: 真白
追ふ金魚追はれる金魚いづれとも辿りつくべき対岸はなく
:: 初枝
萌え萌えと笑顔振りまきスカートの短き少女の腿の太さよ
:: 真白
「あの奥がお花畑でございまぁ〜す」お花畑つて何?はばかりだとよ。
:: 初枝
ぐでんぐでん酔ひたい時はアルコールなきビールさへ我を癒すよ
:: 真白
宿酔の朝のひかりは眩くて火球となりて君を焼きたり
:: 初枝
そろそろ目を覚ます頃なり一生を生きていけると思ひけるかな
:: 真白
春殺め、夏も一刺し秋といふ季節にすぐにわたしは馴染む
:: 初枝
無理矢理に寂しかつたと言はせたり何の意味なきことと知りつつ










藤田初枝 and 山科真白

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短歌コラボレーション2011年秋