夢ノカタチ愛ノカタチ






:: 真白
しづかなる池のおもてにうつろへる雲がひんやりみづに濡れをり
:: 初枝
まだ成さぬ夢ひとつあり心には言葉にならぬ文学のあり
:: 真白
今生の夢の名残を曳きながら風巻く丘に雪は舞ひ散る
:: 初枝
夢ノカタチ愛ノカタチのそのままに滅びに向かふはヒトの運命(さだめ)か
:: 真白
俊寛の無念にあらずわだつみのあをき深みに足をとられて
:: 初枝
浪の下にミヤコがあると教へられ帝八歳小さき手を合わす
:: 真白
叢雲の剣をくはへし龍神が海の鳥居をくぐりゆきたり
:: 初枝
ひとの世に天降りける憂鬱のいつか晴れけむニニギノミコトは
:: 真白
美しき妻を娶れり 如月の氷のうへを撫づる白鳥
:: 初枝
はらりはらり落ちてゆくものとどめかねどうせ無に帰すなどとうそぶく
:: 真白
二千十二年マヤの予言のそのまへにほろびつつある白い薔薇の木
:: 初枝
まもなく、地上アナログ放送が消えて紳助ゐなくなります。
:: 真白
居乍らにデジタルハイビジョン映像でチョモランマまで連れてゆかるる
:: 初枝
山頂の日の出に心奪はれて日の没するに気づかざりけり
:: 真白
瓦斯灯の燈らぬ闇は夜を統べる月読不意にあらはる気配
:: 初枝
夢解きも解けぬ夢ありロンドンの霧に紛れて目を奪はると
:: 真白
河向かうのピアノ工房にて内部まで晒されてゐるわたしのピアノ
:: 初枝
指だけが動き続けて音のなき楽を奏でる永遠の夕暮れ
:: 真白
薄氷をぴりりと割らむ羚羊の蹄に春が近づきにけり
:: 初枝
恋人が別れを告げた池端もやがて桜に覆はれてゆく










藤田初枝 and 山科真白

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短歌コラボレーション2010年1月