Noah's Ark そして ヨハネの黙示録






:: 初枝
見てごらん 空の果てには一艘の箱船いつか僕らを待てり
:: 真白
白鳩が核弾頭をみつけだし終末時計の針が動きぬ
:: 初枝
ダイアナの地雷原の足跡に樹木葬の樹木の雫
:: 真白
妖精と森に遊びてゐる夢に皐月の草はさみどりに顕つ
:: 初枝
ナセル湖に沈む夕陽を迎へ撃つ巨神兵のかそけき背中
:: 真白
しゆるしゆると肌をすべりて毒蛇はクレオパトラの息を止めたり
:: 初枝
かごめかごめ闇夜に鵺は放たれてファラオの墓を守ると云へり
:: 真白
月光とともにしづむかうつほ舟 柳を揺らす小夜は更けつつ
:: 初枝
銀色の鍵は手の中なないろの七つの扉の前に佇む
:: 真白
白い馬、火の色の馬、黒い馬、蒼ざめた馬、四人の騎士ら
:: 初枝
初キスのその日もいつか戦前と呼ばるるならん大和まほろば
:: 真白
いにしへの天の河原に敷きつめた星のまなかで逢はむ君かも
:: 初枝
ネコの眼をにらみ返せば不愉快な顔つきをする二ひきの週末
:: 真白
黒猫亭のサティの指から溢れだす Je te veux,Je te veux おまへがほしい
:: 初枝
レクイエム静かに流れ初むる部屋見えないものを探し求めつ
:: 真白
天秤のうへで揺れたる花びらの憂鬱を閉ぢる魔方陣かな
:: 初枝
疾駆するものら手に手に刃持ちもはやヒトとは呼べぬたましひ
:: 真白
たましひを入れるちひさな巻貝の海のにほひに夏は満ちゆく
:: 初枝
波の音を聞いた気がして足を止む 砂漠の真中に流れ星消ゆ
:: 真白
ペルシアの星の砂丘に咲き満ちる久遠の花を君と見るらん










藤田初枝 and 山科真白

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短歌コラボレーション2010年6月