::: 罪と魂 :::



くちなはをぐしやりと踏みてゆく春の夜は原罪のまことの罠に嵌りゐるなり  真白
春の夜の罪に堕ちてし汝を探すとて月の無き幾多の空を天翔る魂(たま)  初枝
吾の魂を捕らへて逃げる盗つ人ありや暗闇の渡しの舟に星影の落ゆ  真白
捕らはれのロンドン塔の亡霊たちも新月に着飾りて今宵踊り明かすと  初枝
蔓薔薇の柄の浴衣をとりあふなかれ和の国の物の怪つひに英吉利へ発つ  真白
睦言を交はす二人は茨の茂み絡み付き締め上げられて命を燃やす  初枝
今夜だに逢ひたしといふ文を咥へて八房は伏姫桜を見上げてをりぬ  真白
「忠義」その甘き響きに心奪はれ「悪徳」といふ美酒に酔ふ 汚れなきもの  初枝
監獄のサド侯爵に渡されてゐる数日で書き上げられた『美徳の不幸』  真白
ひとの世は幾度も巡る風のごとくに恋人は別れを重ぬまた逢ふために  初枝
旋頭歌
旋頭歌とは

和歌の歌体のひとつ。
5・7・5・5・7・5の六句から成る。
5・7・5の形(片歌)がふたつ合わさったものと考えられる。
『古事記』 『日本書紀』に各2首。
『万葉集』に62首見られる。

:::  Gustav Klimt  水蛇T :::


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藤田初枝×山科真白コラボレーション2010年3月