ま っ さ ら な あ き






偶然が重なりあいて屠られた白きトルソは掘り出されたり      真白


カエサルの胸像深く産まれたるからすあげはは祈りのかたち   沙樹


祈らんと身をまるくしてひざまずく胎児は宇宙から生まれしぞ    昭雄


ひび割れた水の色持つビードロを懐に抱く夜もありしか       真白


ヴォサノバが低く流れる体内の罅は遥かな記憶を連れて      沙樹


木枯らしに紛れし記憶追うごとく少年ひとり風を凝視める       昭雄


思い出の飾り棚より零れくるアンティーク・ラブの美しき欠片は    真白


写真立てぱたんと倒れ彼の海も君の笑顔もいつか夕暮れ      沙樹


部屋中に夕焼け小焼け満たすとき失うものも加速度的に       昭雄


突然に庭に居着いた白猫が忽然と消え今日で三日目         真白


猫面の七、八人が一斉においでおいでをしている窓辺         沙樹


窓越しに向き合うロミオとジュリエット茶パツ・ガングロ底厚サンダル 昭雄


純愛に陥ちゆくひとのまなぶたに妖精パックの羽根は舞い下る    真白


永遠をかたちにすればなんとなく森の出口の三色すみれ       沙樹


森を出て二足歩行をなしとげし人間どこまで滅ぼすか森        昭雄


さらさらの砂に埋もる足くびを抜き取る勇気が持てずにいます    真白


勇気とか正義だとかを思うたび行方不明のバリの踊り子       沙樹


踊り子の腰のあたりに今もなお兵士ぞろぞろまっさらなあき       昭雄



BBSにて