短歌で旅をする(東日本編)

山科真白めもりあるのーと / HOME

北海道
五稜郭のさくら見んとて急ぎ足の高校生に夕陽の赤さ 初枝
青森
咲き初めし林檎いとけなき黒石の よされよよされ吾も踊りなむ 久仁子
岩手
わんこそば選手権にてたたかへるをのことめのこの息の勢ふ 真白
秋田
遠くから「泣ぐごはいねがー」声のして男鹿の今年が過ぎ行かんとす 初枝
宮城
阿佐緒詠みしすももの里の雪篭り奔放とふ名のさびしきひとり 久仁子
山形
蔵王にてCHE.R.RYを聴いて滑り出す「恋をしちやつた」アタシのスキー 真白
福島
恋をして安達太良サービスエリアから眺むるそらは智恵子の空か 初枝
新潟
酌み交はす〆張鶴のまろき色信濃川河口に雪は降りゐつ 久仁子
栃木
日光の見ざる、聞かざる、言はざりし猿にござれば玉乗りはせず 真白
茨城
筑波嶺は昨日も今日もそこにあり雪降りさうな天を従へ 初枝
千葉
地中深き駅より出し京葉線ひととき映ゆる舞浜の海 久仁子
群馬
上州はかかあ天下と空つ風、いかづち光りや忠治も顕ちぬ 真白
埼玉
海の無き島国に夏が訪れて秩父と聞けば何かなつかし 初枝
東京
空はある山が無いのだ東京は 傾く夕日を汐留に見つ 久仁子
神奈川
鎌倉の澁澤邸のしやれかうべ 抱きて少女は永遠を生く 真白
長野
更科の姨捨山の月影はいづれの里と分かずあまねし 初枝
山梨
山の姿映してかなし芋の露 蛇笏住まひし村の朝に 久仁子
静岡
不尽と書く万葉仮名の深き意を思へば富士に神は住みをり 真白
富山
薬売りの怖い話と風船を母と待ちゐし我は幼子 初枝
岐阜
黄瀬戸買ひに戻りきたるらし大寒の多治見の駅に母の背を見つ 久仁子
愛知
しやちほこのごとくに背なを反らさせるヨガ教室が名古屋にありて 真白
石川
江戸の世の恋人たちを思ひをり兼六園をそぞろ歩くとき 初枝
福井
吹雪せる東尋坊に墨蹟のいとも小さき人の姿よ 久仁子

2010年12月-2011年2月   藤田初枝・平居久仁子・山科真白コラボレーション

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