歌仙 「俤を」の 

2000.NOV.18th〜DEC.21st


連衆  俳人 笹心太  歌人 山本栄子 山野とも子 山科真白


 俳人 笹心太


[発句、脇、第三 2000年11月18日京都南禅寺にて詠]

初表
発句 (晩秋)       俤を映して赤きもみじかな             真白
脇   (晩秋)            夕陽まといし石蕗の花           栄子
第三 (晩秋・)     冬隣月にも留守と声かけて             心太
四                    かぐや姫から貰った湯婆         真白
五               温かきもてなしありて冬の宿           栄子
六                    中堅と呼ばれ日記書きため        心太


初裏
初句             挿まれた栞がわりの映画券           真白
二   の呼び出し)       久我美子の娘と言われて        栄子
三   )         祖父似とは言えず畳にのの字書き       心太
四   離れ)          赤いマニキュア剥がれた人形      真白
五   (神祇釈仏)     それぞれの表情に笑まう羅漢さま      栄子
六                    同行二人は蟻と坂道           心太
七   )          振り仰ぐ真夏の夢の月ひとつ         真白
八   (名所)            熱海の海岸松の機嫌は        栄子
九   (人名)         潮風に為朝殿の弦の音            心太
十                    敗兵を追う蝶々の群れ        真白
十一 )          花のもと吉事の予感ひしひしと        栄子
折端                  風の光にまどろむ朝を         心太


名表
初句 雑            焼きたてのクロワッサンの匂い充つ     真白
二  
                避暑地に集う人さんざめく       とも子
三               夕されば潮引く磯の藤の壷           心太
四   (王朝・)          牛車の音に胸ときめかし        栄子
五   (王朝・)      手枕にゆるりと髪を撫でられて          真白
六   (王朝・離れ)       ふみなくてやは雨降りやまぬ     とも子
七                文化祭の今年のテーマは正義感       心太
八   )              まろき月しろ道連れにして        栄子
九                戻り来る道で手折りし一重菊         真白
十   (異人)             マチスのポスター踊り子の舞う   とも子
十一 (異国)         笛吹けどユーロ防衛ままならず        心太
十二                  一株すらも買えないままに       栄子


名裏
初句 雑             澄んでおり告知されたる男の目       とも子
二   (玩具)             眠れる獅子に差し出すファービー  真白
三   (玩具)         お手玉を三つ四つ五つと数えつつ      栄子
四                     忘れし歌にボンボリ灯し        心太
五   )          あやかしの花待つこころしんとして     とも子
挙句                   いざ出でゆかん春の海原       栄子