パリ4日目3ページ




ドラクロワ美術館。 

この美術館の入り口は本当に難しい。
看板もあったし、地図でもどう考えてもこの辺りなのに見つからない。ドラクロワが晩年5年間を過ごした家を記念館として公開してるので、そのつもりで探してはいるけれど難しい。 道に面した所にあるのではなく少し入らなければならないのであった。 入り口にフランス国旗といきなりの階段。

階段の上では「ボンジュール」と係の人が迎えてくれる。

もーーっ。探して疲れましたーというかんじを漂わせて入館しましたが、
あぁぁぁぁ・・・・・・・・こんなステキな美術館・・・・・ただただため息・・・
入館して個人の邸宅を改造した美術館と同じように居住用の部屋のなかにドラクロワの作品やゆかりの品々が並んでいます。自画像や親交のあったジュルジュ・サンドの肖像画がありました。家具類や調度品は特にきらびやかな豪華なものはなくドラクロワの暮らしぶりが窺えました。

いくつかの部屋を見たら、係の人が外に出ろとひとつのドアに案内されました。
そのドアを開けると、
すばらしい中庭が広がっていたのです。
愛らしくかわいい赤い蔓薔薇が咲いています。 なんと藤も咲いていて赤と紫のコントラストが上品なパティオに似合っています。
階段を下りると優しい土の空間にテーブルと椅子。
藤はフランスの郊外では、結構あるらしいのですが、石楠花とか躑躅とか椿とかパリでは色々な日本にたくさんある花を見てきたけれど、パリで見る藤ほどきれいなものはありません。 藤という花は花期のそんなに長い花ではないので特にそう思うのかもしれないけれど。

中庭から空を見上げます。 ドラクロワの仰ぎ見た空です。
すっかりドラクロワ美術館で癒されて、街としてとことん好きになったサン・ジェルマン・デ・プレ界隈を歩きます。この辺サルトル達も愛したとか。

写真は満開のライラックと満開のマロニエに囲まれたサン・ジェルマン・デ・プレ教会です。
サン・ジェルマン・デ・プレ教会はロマネスク様式のパリ最古の教会。天井部分はゴシック様式に改裝されています。

もともと大修道院の付属の教会で内部にはアングルの弟子のフランドランの壁画が施されています。

この教会にはデカルトをはじめベネディクト会士のマビヨンや詩人のマビオンなど偉人たちが瞑っています。

サン・ジェルマン・デ・プレからメトロ4号線に乗ってシテで下車します。


正面には裁判所が見えています。
裁判所をはさんでコンシェルジュリーとシャント・シャペルがあります。
裁判所の前で黒人たちがデモを行なっていました。
コンシェルジュリー内部です。

マリー・アントワネットやフランス革命に明るい方は耳慣れた名前だと思いますが、大革命の時に牢獄となり、ここを出るときは必ず処刑されるという絶望的な場所で1年半の間に2600人が処刑台に送られました。

内部は教会の回廊と見まがう美しさです。
コンシェルジュリーにはマリー・アントワネットの独房が再現されています。
黒いヴェールを被ったひとりの女性が剥げた壁に向かって椅子に座り書物に視線を落としています。右手にはヴェルサイユのものとは比べ物にならない簡素な木製のベッドがありました。

あまりにも有名なシュテファン・ツワイクの書いた「マリー・アントワネット」には、このコンシェルジュリーでの王妃のことが詳しく描かれています。

『秋の訪れが身に感じられ、冷気が剥きだしの敷石から立ち登ってくる。近くのセーヌから霧のような濕氣が押し寄せ壁をしみ通り、どの材木も湿気を吸いこんでさわると海綿のようである。腐朽と腐敗の匂いがし、いよいよ激しく死が匂った。下着はぼろぼろになって、衣服は破れかかり、骨深くまで湿った冷気が染み込んで身を切るようなリウマチの痛さを引き起した』
         (シュテファン・ツワイク著 マリー・アントワネットより引用)
コンシェルジュリーの深い感慨を引きずってサント・シャペルに移動。
まだコンシェルジュリーのことを書いてしまいますが、ツワイクの「マリー・アントワネット」は本当に名著です。 池田さんはこの本を読んでベルばらを書こうと思い立ったことは有名ですね。 
ヴェルサイユは勿論パリにはアントワネット縁の場所がいくつもあるので本書を読んでいたことは非常によかったと思いました。

さて、写真はサント・シャペル。入館料はコンシェルジュリと共通券になっています。 カルトミュゼを使うことができます。
サント・シャペル一階部分。

ルイ9世がコンスタンティノープルから買い求めたキリストのかぶった茨の冠や十字架の木片などの聖遺物を納めるために建てられた礼拝堂で完成は1248年。

入館の際に厳しい荷物チェックがあります。
一階部分は聖母マリアを祀るもので聖母像が扉の窓間壁にあり、天井部分は青地に白百合紋章のフランス王朝の壁紙が貼られていました。
狭い階段を上がって上部の礼拝堂に出るとそこはステンドグラスに埋め尽くされた世界。


こんなすばらしいステンドグラスは見たことがありません。
このステンドグラスには聖書の場面1134景が描かれ、720景は13世紀の作でパリで最も古いステンドグラスなんだそうです。

ランセットに分割されたステンドグラスは左から右へ、下から上へ読むようになっていて、青、赤、黄色が差し込む光でますます輝き、眩暈が起こりそうなほど美しいです。
こうして椅子を置いてくれていて、思う存分観覧者はステンドグラスを見上げることができます。

光が手にとるように目に見えるのです。 本当にすばらしい。

フランスのゴシックの宝石にも別れを告げてモンパルナスに向かいます。

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