西王燦・山科真白


 の 歌  (冬編)



ふゆうらら【冬麗ら】 冬日和 冬晴れ (三冬)

冬の晴れた日和である。表日本は冬はからりとした晴れた日が多い
が裏日本はどんより曇った日が続く。   俳句歳時記 冬 平凡社



林檎箱さかしまにしてその上に絵日記置かるる冬の麗らを  燦

冬麗ら 紅玉といふ名の林檎しやりしやり砕く白き歯牙なり  真白



いてぐも【凍雲】 冬の雲 寒雲 (三冬)

冬の空には雲が多い。冬の雲は多く灰色に垂れ込めて陰鬱な
ものである。凍雲は寒い空に滞って動かぬ雲をいう。晴れた日
の空に美しい雲が見られることがある。俳句歳時記 冬 平凡社



動かざる凍雲の下 約束は解かれふたたび交はされてゐる 真白

動かざる凍雲の下に立ちをれば白鳥の嘴かすかに歪む  燦



しぐれ【時雨】  朝時雨 夕時雨 小夜時雨 村時雨 片時雨 北時雨
横時雨 月時雨 山めぐり 泪の時雨 川音の時雨 松風の時雨(初冬)

秋冬の頃に陰晴定めなく降り来る雨をいう。いま降ったかと思う
と晴れて日が差している。       俳句歳時記 冬 平凡社



時雨降る故郷にしてごつごつと老父の指のごとき梅の樹  燦

阿蘭陀の地図を見てゐる間に時雨降りてあがりて明るくなりぬ 真白



こがらし【凩】  木枯 (初冬)

初冬に吹く強い風で、木を吹き枯らすということからきた言葉である。枝を
鳴らし、葉を吹き飛ばし、いよいよ冬がきたと感じさせる。強い北西風のた
めに気温は急激に降下し凩という情景を示す。俳句歳時記 冬 平凡社



が似合ひさうなるもののふが立ち現れるまぼろしの見ゆ 真白

に一騎当千などといへ遠き日のわが棒振り歩む  燦



さゆる【冴ゆる】 冴ゆる夜 月冴ゆる 鐘冴ゆる (三冬)

寒さが澄んで透きとおるような感じである。そこには一切の夾
雑物を取り去った寒さがある。    俳句歳時記 冬 平凡社



月冴ゆるる野末に白き牙剥きて朔太郎の犬か吠えやまざりき  燦

月冴ゆる道を時計は転がりて桜園まで連れゆくつもり 真白



ふゆぎんが【冬銀河】(三冬)

銀河は秋の空の澄む頃から夜空に白く光って河のように見える
無数の恒星の集合体であり、秋の季語になっているが、近頃は
冬銀河として冬にも用いる。冬の冴えた夜空に明らかにみること
ができて冬らしい感じをもっている。  俳句歳時記 冬 平凡社



潔く穢れを落とすみづなきや 冬銀河から星がこぼるる 真白

冬銀河はるかに見えて青森へ眠りつつ行く『日本海』あはれ  燦



ゆき【雪】 雪の花 六雪 雪空 雪もよい 雪雲 雪明かり 雪煙 新
雪 凍雪 根雪 大雪 深雪 小雪 粉雪 細雪 綿雪 吹雪 帷子雪
しずり雪 襖雪 朝の雪 今朝の雪 冬の雪 夜の雪 雪の宿 (晩冬)

日本は南北に長いので雪の全く降らない所から三メートル四メート
ル降り積もる所まである。日本海側に面した地方などは、世界でも
有数の多雪地であるが、東北、北海道でも相当降る。こういう地方
は、4.5ヶ月雪に支配されその影響は大きい。雪の多い地方では、
生活様式まで変わってしまう。雪の作品材料はまことに豊富である
雪は普通は樹枝状六花の結晶である。 俳句歳時記 冬 平凡社



の香はいかにと問へば掠れゐるノイズの中の柑橘の声  燦

透きとほる音を生みしかしづかなるの土地から携帯が鳴る 真白



ふゆざれ【冬ざれ】 冬ざるる (三冬)

冬の万象の荒涼たる有様をいう。     俳句歳時記 冬 平凡社


冬ざるる空に流離ふひとすぢの煙を追ひて夢に入りぬ 真白

昼居するホテルの窓ゆ冬ざれの公園見えて人ら動かず  燦



NISHIOU SAN & YAMASHINA MASHIRO

2006.2月